マニュアル・運営改善

【5STEP】
マニュアルの作成手順

こんにちは!たいらですみません!!

いきなりですが一言にマニュアル作成と言ってもいろんな業種業態がありますから、コレ!!という万能薬的な手順はありません。

おっと、始める前から言い訳ですか?

今回は対面接客業のマニュアル作成手順を主対象にイメージして、できる限り分かりやすくご説明したいと思います。どうしてここに焦点を絞ったかというと、

  • 世の中にあまり質の高いマニュアルがない
  • お客様次第でスタッフの取るべき行動が左右されるため、定量化が困難
  • 作成する人材と時間を担保するのが最も難しい

チェーンオペレーションを組んでいるような大手だと一定の品質のマニュアルが用意されている場合が多いですが、それはそれで業務の割にボリュームがあり過ぎてアルバイトを含む末端のスタッフにまで浸透していなかったり。

本当に大事なことが何なのかを伝えるためには行動規範や手順の情報を絞って、考え方や業務の目的を強調することで自走を促すことも効果的です。

また局所的なマニュアルは作られているものの、リバイス(更新作業)が実業務内容に追い付いていなかったり、取っ散らかって正確な情報がどこにあるかわからなくなっていたりします。

私はマニュアル作成をお手伝いする際、新人教育ツールとしての有用性形骸化の防止にとことんこだわっています。

せっかく手間暇かけて作るのだからスタッフから順守すべきルールとして認知され、会社やチームの財産とならなければ意味がありません。詳しくは【5つのPOINT】実用性の高いマニュアルを作るには?をご参照ください。

大は小を兼ねる、じゃないですが当記事は対面接客業でない業種においても大いに参考にしていただけるかと思います。

レッツゴー

STEP1:最初に決めること

まずは計画的に進捗させるために以下のことを決めておきましょう。

作成の目的と用途

意外と見落としがちなのがこれ。作成前にあらかじめはっきりとさせておきましょう。もちろん最終的なゴールは収益性の向上につながらなければ意味が無いのですが、一歩手前の目的、用途として最低限以下の3点については盛り込んでおくことをお勧めします。

  1. 新人スタッフの教育ツール
  2. 既存スタッフに向けた業務フローの可視化
  3. 求められる業務の質、スピードの可視化

1.については先述の通りですが、指示指導にあたる先輩スタッフによって言ってることが違う、という「教育あるある」を防止するためにメモをとる必要がないマニュアルという視点が大切です。

メモが必要ってことはツールの情報が不足してるってことか

2.3.ではスタッフ独自の業務スタイルを抑止するものです。あの人はこれを先にやる派、この人はここをやたら丁寧にする割にここが雑、とか。ありますよね。それらを一定の基準内に収めることもマニュアルの大事な役割です。

そもそも自分がベストだと思ってる手法なら共有すべきですから

ベテランになればなるほどルールとして明文化されることにアレルギー反応を示す傾向があるのは確かです。しかし教育の効率化、業務の平準化を優先しなければ離職率の低下やスタッフのスキル底上げといったマニュアル作成における最大の恩恵を享受できません。

どんな役職、ベテランスタッフの指示もマニュアルから逸脱するものであってはいけない、という風土醸成が後に必要となってきます。

したがって事業規模等にも依りますが、「これからこういった目的でマニュアルを作成します!」と旗印を掲げるのも有効です。私は全スタッフを集めて目的の共有と協力を要請する機会を設けられないかお願いすることもしばしば。もう後戻りできないですからね(笑)

大げさかもしれないけど憲法や法律みたいに「施行」するってイメージね

経験上ちょっと大げさなくらいがちょうどいいと思うよ

作成者と承認者

単純な話です。誰が中心となってマニュアルを作り、誰がそれに実行力をもたせるのか。

基本的にはプレイヤーとしての評価が高く、人望があるスタッフを中心に作成すれば大丈夫です。当人を現場から引っこ抜いて時間を作ることが難しかったり、事務処理能力に問題があったりするケースもあると思うので状況に応じて適任者を選任してください。

たいら社長はこの「適任者」がいない時に備えて目を光らせてるわけだな

うん、ちょっと言い方に配慮が必要だね

承認者とは「この人のOKが出たらルールとして成立する」という人です。原則としては現場の責任者で問題ありませんが、場合によっては本部であったり経営層であったりもするでしょう。

どこからどこまで作るのか

この段階ではざっくりで構いません。例を挙げますと、

  • 飲食店・・・ホール業務全般
  • 物販・・・接客、商品管理
  • 医療施設・・・最初の3カ月で身に付けて欲しいこと

といった具合です。どの業務に関してもそうですが、【5つのPOINT】でも触れている通りまずは60点のマニュアルを目指しましょう。

  • 飲食店のアルバイトスタッフにソムリエの知識を叩きこむ
  • アパレルスタッフにアントワープまで遡って世界の潮流を学習させる
  • 看護師に担当患者のオペの内容、手順、リスクを把握させる

100点を目指すのがいかに無謀かイメージしていただけましたか?60点のマニュアルが完成、浸透した上でよりスキルアップを目指すための材料を逐次追加作成していくことをお勧めします。

STEP2:目次の作成

ここが最初にして最大の難関です。業務別に割るのか時間軸メインのフローで割るのか。はたまたステップアップに合わせた構成にするのか。これらをSTEP1で定めた作成の目的に立ち返りながら組み付けていきます。「求められるスキル、専門性の高さ」をひとつの物差しとして考えると良いでしょう。

ツールは普段から使い慣れているもので良いのですが、ここではマインドマップを使用しながら実例でご説明します。非常に直感的で使いやすい無料ツールなので是非お試しください。ページ下部にMac版もあります。

業務毎に割る方法(縦割り)

はい、よくあるヤツです。小売店等では時間帯やシフトによって業務内容が変わることが少ないためわかりやすく、内容が重複することもありません。POSレジの操作方法だけマニュアルが作られていたりすることは往々にしてあるので内容は使いまわせば良いでしょう。

基本の型、ファーストチョイスにあたるってわけね

時間軸で割る方法(横割り)

特定の時間帯にしか勤務しない方が一定割合いらっしゃる場合や、対面接客に係る時間が長い場合はこちらが便利なケースがあります。

ただし、フローや注意点等について重複することが多いため、リバイスやメンテナンスの手間は縦割りよりしんどいのでご承知おきください。

どうしても一長一短になっちゃうのね

キャリアマップをベースにする方法

ステップ、キャリアによって求められる役割に大きな差がある場合はロードマップをそのままマニュアルに落とし込む方法が効果的です。

入社1日目の美容院スタッフにアフロの技術を教えても意味がありませんよね。ひとつひとつのスキルについて誰が教えてもある程度同じ結果になるよう、可能な限り定量的なキャリアマップを用意するのも事業者の大事なミッションです。

目次の作成まとめ

どの方法でまとめるかが決まればあとは必要な項目をまとめていきます。上のようなマインドマップを用いることで、「大・中・小分類」のレイヤー分けを同時に行うことができ、時短につながります。

ここで注意点をいくつか挙げますと、

  • 各レイヤー(分類)の内容について規模感を統一させる
  • 後から追加項目が絶対に出てくるから完璧を目指さない
  • 小分類以下を無理やり作る必要はない

粗々で良いので目次さえ完成させてしまえば1週間でできるのか1カ月かかるのか3カ月かかるのか想像がつくと思いますので、スケジュールを立てて進めていきましょう。

共有フォルダやメール、slack等アプリケーションの過去ログで転用できそうなお宝が人知れず眠っている場合も多いので、最新の関連情報はできるだけ集めておいてください。

STEP3:マニュアルの型を決める

Office系ツール(Excel、Word、PowerPoint)やクラウド管理型のアプリ等が候補になりますので、それぞれの適正やメリットやデメリットについてご説明します。スプレッドシート等はOffice系ツールと比較するものでもないので割愛します。

Excelを使用する場合

メリット:扱い慣れている人が多い、ドキュメントが挿入しやすい
デメリット:ページ構成に手間がかかる、目次作成が手作業になる

一定以上のボリュームがあり、かつ図表や画像を大量に使用する場合はまずExcelの使用をまず検討しましょう。特段理由がなければExcel、という認識で良いと思います。

こんな具合です。シートを分けて商品知識やチェックシートをA3横で別途作成し、プリントアウトすることで必要な場所に設置することもできます。そういった付帯的な情報も1つのデータとしてまとまっていることは利便性の上でとても重要です。

複数のセクション、業態がある場合や専門性の高い社員教育等に使用する場合は他のOffice系ツールだと不便が生じることが多いです。後からデータを差し込んだり切り取ったりすることが必ず出てくるので、「セルの結合」「セル幅の調整」はできるだけ控えましょう。以下の記事からテンプレートをダウンロードしていただけます。

Wordを使用する場合

メリット:目次が自動編成できる、テキストの情報量を詰め込みやすい
デメリット:読みあわせてなんぼ、視覚に訴えるデータになり辛い

研修時の読み合わせを主たる用途とした教科書的なマニュアルを作りたい場合はWordで語り口調にすると良いでしょう。

動き方そのものよりも、マインドセットの充実を図りたい場合はどうしてもテキストのボリュームが必要となってきます。

少し余談ですが、学校の授業で教科書があるのにテスト対策のためには板書を写さなきゃいけなかったりしましたよね。

写してたわー。イケてるノート転売の闇ブローカーいたわー。

科目にも依りますが、あれってべらぼうに非効率な作業だと思いませんか?板書も一緒に配ってくれたら傾聴と理解に全集中できるのに。

教科書+板書をマニュアルに落とし込むことができれば受け手はその場で聞きながら考える事に専念し、何がわからないかがリアルタイムでわかる。おまけに教育のバラつきも無くなる。授業(研修)を行う前提で深度ある理解を得たい場合にはWordが最適であると言えます。bizoceanというサイトでひな形を無料配布していますのでよければ参考にしてみてください😀

PowerPointを使用する場合

メリット:アイキャッチに優れている、テンプレート使用で作成が容易
デメリット:情報量の密度が薄く、専門性が高い職種には適さない

限られた職域のアルバイトさん等に対する研修資料などはマニュアルでマインドを理解してもらい、詳細手順はOJT(実務訓練)で覚えてもらう方が効率的です。オペレーションのバラつきが問題になっている箇所については洗い出して平準化を図りましょう。

上記のサンプルの場合、おしぼりがどこにあるか、手渡しするのか、といったことは勝手に身に付きます。しかし気の利かないスタッフは「お客様のペースに合わせる」ことが一生できなかったりするのでそこを強調しているわけです。

上着も脱いでないのにおしぼり渡してくる人いるわよね・・・

単一業態の飲食店のマニュアルサンプルを20ページのPowerPointで作成したものがありますので、よろしければ【パワポ20P】で簡単!飲食店マニュアルの作り方をご参照ください。

ちょっとひといき

少しイメージ沸いてきたでしょうか?Office系ツールの選び方をまとめますと、

  • 情報量が多い場合はExcel
  • 読み合わせの研修、教科書としての使用を主たる用途とするならWord
  • 情報量を絞ってマインド醸成に力点をおくならPowerPoint

といった具合です。先述の通りもし決めかねているならばExcelが一番無難です😀

クラウド型ツールを使用する

メリット:スマホやタブレットから閲覧できる、動画の埋め込みが可能
デメリット:ランニングコストがかかる、閲覧用の端末が必要

特にOESやPOSレジにiPad等の端末を利用している場合、最もユーザビリティが高いのがこういったクラウド型作成ツールです。

スタッフがいつでもマニュアルを確認できるってことだもんね

導入コストが他社と比較してもべらぼうに廉価なことから私はwikipyをお勧めしています。導入費用として¥3,000、月額使用料も¥3,000~ということで単一店舗においても充分カバーできる金額かと思います。30日のトライアル期間もあるので試してみてはいかがでしょうか。

STEP4:書く、書く、& 書く

時間と覚悟が必要です

目次の構成とツールが決まったらあとはひたすら書き起こしていくのみです。上記で紹介したようなPowerPoint20Pくらいなら10時間くらいでできるかもしれないですが、業務の専門性や作成範囲によっては200時間以上かかるケースもザラです。

でも考えてみてください。

  • 新人教育の度に割かれていた時間を、教える側含め今後大幅に削減できるとしたら?
  • 「とりあえずマニュアル見てやれるとこまでやってみて」が通用するようになったら?
  • 権威性のあるマニュアルができたことでスタッフ間の摩擦、離職が少なくなったら?

実用性の高いマニュアルを作成することができれば数値の面でも必ず作成に係るコストを上回るメリットを得ることができます。

成功の秘訣

普段PCでの事務作業やテキストを書くことに不慣れな場合も多いかと思いますが、志半ばにして筆が止まることの無いよう7点ほどコツを挙げます。

  1. 担当者以外に聞かなければわからないことは後回しにしてでもとにかく手を動かす
  2. 業務改善を並行して実施したい場合は上長とポイントを事前に共有しておく
  3. 可能な限りテキスト量を減らし、箇条書きやドキュメント、画像に落とし込む
  4. リリース予定日を定め、完成までのスケジュール感を常に責任者と共有する
  5. 作成者が応援してもらえる環境を承認者(責任者)が整えてあげる
  6. 追加したくなる情報が出てくることを見越して体裁を整える作業はほどほどに進める
  7. 部分的であっても過去に作られたものがないかチェックしておく

マニュアル作成はなかなかに過酷かつ孤独な作業です。企業、事業所として担当者に時間を確保するため、シフトや出勤形態の調整等も検討してあげてください。

STEP5:定性、定量化のデータ埋め込み

STEP4が完成した時点ですでに燃え尽きてしまっているかもしれませんが、もうひと踏ん張り!!STEP1の「作成の目的、用途」の3.に忍ばせておいたヤツ。

求められる業務の質、スピードの可視化

期せずして出来上がっていることも多いですし、必ずしも全項目に必要なわけではありません。しかしながら業務の平準化と、その先にあるスタッフスキルの底上げが達成するため、今一度上記の目線でマニュアルを確認しましょう。

少しばっちくて恐縮なのですが、わかりやすさを重視して「トイレのチェック、清掃」を例にご説明します。

業務の定性化とは?

「どの程度キレイにすれば良いの?」への回答が業務の定性化です。

  • 専用のシートで便器の拭き上げ
  • 床が濡れていないかチェック、拭き上げ
  • 洗面化粧台の拭き上げ
  • ゴミ箱内のゴミ撤去

こんくらいやってないヤツいないっしょ

はい、おおよそこのくらいまでは「やらなきゃいけないこと」として認識されているとしましょう。では次のような項目はどうでしょうか。

  • 鏡のアルコール拭き上げ、乾拭き
  • トイレットペーパーの三角折り
  • アメニティセットをいっぱいまで補充
  • ドアノブの拭き上げ

や、やってるし!ときどきだけど・・・

「やってる人とやってない人がいること」になっていませんか?さらに言うと「やるときとやらないときがあること」になっていませんか?

ここらへんを明確に定義してあげないと、いつも当たり前にやってる人が一時的にでも損をしたり、やってない人がスピードだけでドヤ顔するような事態になってしまうわけです。あ、余談ですが三角折りは衛生管理上お勧めできません。

こういった個人の裁量に依存しがちな部分は、チェックリストやbefore ⇨ afterの画像によって定性化を行いましょう。

7割の人が7割の場面でやってる業務は全体で5割しか行われてませんよ

業務の定量化とは?

こちらは至極簡単な話です。トイレの清掃にかけて良い時間の目安を記載するだけです。3分なのか5分なのか10分なのか。

トイレ清掃の話は置いておいて、今回のマニュアル作成は対面接客業を主対象とする旨、冒頭でうっかり申し上げてしまいました。お客様対応にかけて良い時間はお客様次第・・・

じゃないんですよ。

  • 飲食店でファーストオーダーを取ってくるスピード
  • 美容院や医療機関でカウンセリングにかかる時間
  • 宿泊施設でのチェックインに要する時間

確かにこれらはお客様次第で確実にかかる時間が変わってきます。

でも確かに相対的にいつも早い人と遅い人はいるわね・・・

お年寄り相手に早口でまくし立てるべきではないですし、話しかけてくるお子様を無視すべきでもありません。

ただし、そういった時間を短くするためのテクニックや、急がなければならないときに割愛しても良いヒヤリング項目等は確実に存在します。

そういったものをひっくるめて、「平均的に何分以内に終わらせるようにしましょう」といった指標を用意することが非常に重要です。もちろん上記のようなテクニック、場合によって割愛しても良い(すべき)項目等は極力マニュアル内、無理なら動画、研修といった形で落とし込みを行いましょう。

まとめ

GOOOOOOOAL!!!っといきたいところなんですが、一点だけ釘を刺させてもらって良いですか?

マニュアルは作ることがゴールじゃありません。(キリッ

完成した後に新人教育ツールとして大いにご利用いただきたいわけなんですが、既存スタッフへのブレークダウンも忘れず行ってください。

できれば研修方式で読み合わせることが理想ですが、業種やボリュームによっては難しいこともあるかと思います。その場合は複数回に分けるか、「いつまでに必ず目を通しておくように」という指示を対象となる全スタッフに向けてリリースしましょう。

新人がマニュアル通りにやって怒られるという凄惨な事件は未然に防がなくてはなりません。

なかなか骨の折れる作業であることは間違いないですが、一度作成して定期的な更新を習慣づけることができれば、くどいようですが

  • オペレーション変更時の全体周知
  • 人事的な評価軸の明確化
  • ES向上による離職率の低減

といった企業にとって非常に大きな財産、メリットを得ることができます。

ご不明な点やご相談等がございましたら是非お気軽にお問い合わせください😀

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