こんちゃ!たいらっす!!どもども!!
私はもともとバーでのアルバイトに始まって、ホテルレストランに勤務しておりました。バーでは金髪ロン毛でもおとがめなしでしたが、ホテルレストランではやっぱりそれなりにパリッとした格好してたと思います。たぶん。そして今はどちらかというとカジュアルな飲食店を中心にマニュアル作成を行っております。
マニュアル作成をするにあたり、やっぱり他のお店やネットの記事なんかを参考にするわけですよ。ただ、時代の変化や業態によって身だしなみに関するルールのレベル感は様々。ネットでも主張にバラつきがあります。
どういった身だしなみが現代の飲食店スタッフにとってふさわしいか、という点について「なぜ業態によって基準が異なるのか」は思いの外論理的に説明できないんですよね。時代や業態に左右されない普遍的な考え方は無いものか、と。だもんでここいらでいっちょ本気出してまとめてみるか、と思い立ったわけであります。
基本的な考え方
身だしなみの重要性
個人的な考えに過ぎませんが、飲食店スタッフの身だしなみルールを考えるにあたり重要なのは以下の2点。だけなんですよね。
- お客様から見て清潔感があり、自然な印象を持たれるかどうか
- 衛生管理の観点から見て食中毒や異物混入のリスクが抑えられているかどうか
店舗のイメージやブランディングとのギャップといった見方もないわけではないでしょうが、そこまで来ると採用の時点でふるいにかけられていると考えられますので、上記2点についてのみ考察していきます。接待ではなく、あくまで接客を業務に含む飲食店スタッフにフォーカスしています。
清潔感、自然さ

清潔感も自然さもあくまでお客様目線で考えなければなりません。
なんじゃコイツ・・・こんな人にサービスしてもらいたくない・・・
こんな風に思われてしまったらアウト。お客様にとって話しかけやすい、感じの良いスタッフであるかどうかはCSに直結します。どんなに根が良いヤツでも、商品知識を持ったスキルの高いスタッフでもその強みを発揮する以前にお客様から距離を置かれてしまうでしょう。
難しいのが、お客様がご年輩であっても学生さんであってもその感覚に合わせなければいけない、という点です。昭和のホテルレストランでは男性はバッキバキのオールバックがスタンダードだったわけですが、今現在街の居酒屋に行って若いスタッフがオールバックだったらむしろ不自然ですよね。お客様によっては距離感を感じられてしまうかもしれません。
耳は出さなきゃいけないとか、毛先が見えないようにお団子にしなさいとかって旧石器時代には言われたものですが、もうそういった基準は時代錯誤なんじゃないかな、と感じています。上の可愛らしい女性も非常に清潔感があるように見えますが、古い考え方のお店だと「前髪をなんとかしなさい」って言われても不思議ではないです。だから個別のルールで縛ることよりも
あなたが思うオシャレではなく、お客様から親近感を持たれるよう意識して表情と身だしなみを整えてください
という考え方を伝えましょう。これで理解してもらえなければ具体的にどこをどうすべきかを指導しなければならなくなりますよ、と。わかってくれよ(泣)と。
正直なところ顔やスタイルが整っているスタッフは、そうでないスタッフに比べてアドバンテージがあります。自然と笑顔が身に付いているスタッフともなればなおさらのこと。ですが見た目に無頓着だったり、いささか尖った個性を持ち合わせたスタッフをいかにして飲食店スタッフとしてふさわしい身だしなみに整えてあげられるかは店側の手腕にかかっています。ただでさえ要員不足が叫ばれる飲食業界ですから、店側もある程度の多様性を認めながらスタッフのモチベーションをコントロールする術を身につける必要があるでしょう。
衛生管理の観点
たくさんのネット上の記事やチェーン店のマニュアルに目を通してきましたが、衛生管理は基本的に身だしなみでどうこうなるものではない、というのが私の考えです。
- こんな身だしなみは異物混入の恐れがあるため禁止です
- こんな身だしなみは食中毒リスクがあるため禁止です
とかって書いてあるマニュアルを頻繁に目にするのですが、衛生管理は身だしなみではなく行動によって守られるものだと思うんです。だからメッセージに説得力が無くスタッフに刺さりにくい。お辞儀をした後に前髪を避けなければならないような髪型は通常望ましくないですが、髪型そのものよりも前髪を触れる行動の方が問題なわけで。実際のところホールスタッフが前髪を触ったことによる食中毒なんて聞いたことありませんし。
すなわち衛生管理の観点とは言っても、お客様からの印象より優先されるものではないのです。言い換えれば衛生管理を建前にした身だしなみのルール策定はスタッフの理解を得にくいのではないか、というのが私の主張。邪推ですが、若いスタッフに対するガバナンス構築のために身だしなみを主観で判断しているベテランスタッフや管理職もいるように感じます。私は13人くらいそんな人を見たことがあります(笑)
誤解しないでいただきたいのですが、衛生管理が飲食店の重要な責務であることには違いないです。ただし、身だしなみに関するルールを考える際、衛生管理をスケープゴートにするのはよしましょうよ、って。重複になりますが、
お客様が不快感を覚えないような身だしなみに協力してくださいね
というのを大前提のメッセージとして掲げることが結果としてスタッフに腹落ちしてもらえるんではないかな、と思うんです。日本を代表するような有名シェフの中にも、汗っかきっで太っている方や立派なヒゲを蓄えている方も大勢いらっしゃいますしね(笑)
身だしなみのチェック項目

つべこべと持論を展開してきましたが、身だしなみについてチェック項目が不要ってわけではありません。老若男女さまざまな属性のお客様からできるだけ「清潔感」「自然さ」を感じていただくためのポイントは存在します。それら個別のポイントについて考えていきましょう。
髪型
最初に難問を持ってきてしまいましたが避けては通れない道です。お客様に愛される金髪の看板娘もいれば、評判の良くない黒髪のスタッフもいるでしょう。不愛想で金髪のスタッフとなると手に負えないですよね・・・
どこまでいってもキャラクターと見た目のバランスでお客様の印象は左右されます。ただし身だしなみによってお客様の心象を損ねてしまうことは本人にとっても非常にもったいないことです。したがって、
- ご年輩の方から見ても清潔感、自然さを損なわないよう奇抜な髪型や色合いは避けてください
- 長さを問わずボサボサな髪の毛はお客様に不快感を与えるためきちんと手入れしましょう
- 上記から逸脱するようだと厳しい制限を設けざるを得なくなってしまうためご理解、ご協力ください
このあたりが落としどころではないでしょうか。襟足は短く、モミアゲは1㎝以下、明るさはレベル5以下・・・こんな基準作ったところで毎日計るわけでもないですし、そもそもお客様が望んでいるとは思えません。
ヒゲ
「必ず毎日剃ってください」これも一つの正解だとは思います。マスクしてるなら尚更雑菌が繁殖することは容易に想像がつきます。
ここで最初の考え方に立ち戻るわけなんですが、「スタッフの口の周りに雑菌がいることがお客様の食中毒リスクを上げる」と論理的にエビデンスを持って証明できますか、って話です。「触らなければ良いのでは?」に対してきちんと反論できますか?
飲食店で働くモンがヒゲを生やすだなんてけしからん!!
お客様も含めてこういった価値観を持つ方が一定数いることはもちろん理解しています。ただし衛生管理を建前にするのはいささかズルい感じがするんですよね。お店の客層などに鑑みて
- お客様にだらしない印象を与えないよう、無精ヒゲは控えてください
といった言い回しの方が適切ではないでしょうか。実際、整ったヒゲであれば不快に思われないお客様も大勢いらっしゃると思いますし。
メイク

髪型はさておき、上のようなメイクの女性が飲食店で働いていたらどうですか?
きれいだけど、さすがにちょっと派手かな・・・いやきれいなんだけど・・・
というのが私の本音です。つけまつ毛は異物混入のリスクがあるため・・・とかってマニュアルも見受けられますが、まつ毛エクステだったら問題ないのでしょうか?ファンデーションの厚さやチーク、口紅の色味などに逐一基準を設けていたらキリがありませんし、「そんな基準あったの!?」って具合に形骸化してしまいます。
- 飲食店ではお客様が主役なので、健康的でナチュラルなメイクにしましょう
- 汗をかいても化粧崩れが目立たないよう、派手なメイクは控えてください
これなら若いスタッフにも一定程度理解してもらえるはずです。
爪

- 手のひら側から見てはみ出さないように短く切りそろえてください
- 異物混入の恐れがあるネイルや、派手な色のマニキュアは控えましょう
このくらいで充分です。飲食店スタッフは洗い物をはじめとした水仕事をするので、ネイルが取れてしまう、剝がれてしまうリスクは本人も充分理解しているはず。だったらそんなネイルはしないでくださいね、というのは単純明快なメッセージかと思います。
難しいのがマニキュアの色味についてなんですが、私個人としては写真のような真っ赤なネイルで接客されるのは少し抵抗があります。きれいに塗ってあればまだ良いのですが、派手な色だと部分的に落ちてしまったり爪が伸びたときにだらしない印象を与えかねません。
透明、もしくは自然な色で爪を美しく保つことは問題ないのでは^^
もう少し意識高い系な見解を述べますと、せっかく見栄えのする料理を運んでも、スタッフの指先に視線が集中してしまうようではサービス上のノイズになってしまうんですよね。それは真っ赤なネイルでも爪垢が溜まった指先でも同じことで。うん、改めて「自然であること」っていうのは重要な要素です。
アクセサリー
私が以前勤めていたレストランでは、衛生管理上の問題をチラつかせながら「腕時計は着用しましょう」「結婚指輪以外のアクセサリーは禁止です」というルールが設けられていました。これって結構ちぐはぐなルールな感じがしませんか?
業務用必要であると認められた上で腕時計は着用可なんですが、世間一般的に手洗いの際、腕時計を外して手首まで洗うのは当然のことなのに、その後再び着用するのはOK、と。結婚指輪であろうがなかろうがお客様観点からしても衛生上の観点からしてもプラスに働くことはないわけですし。だから衛生上の観点から・・・の建前は無理があるんですよ!!(笑)
- お客様の注意を惹きつけたり、グラスを傷つける恐れがあるアクセサリーは着用しないでください
- 結婚指輪や腕時計なら問題ありませんが、揺れるようなネックレスやピアスは禁止します
しれっと「揺れるような」という謎めいた表現を差し込みましたが、揺れるということはお客様の目につきやすい上に、体から離れている分取れたり落としたりするリスクがあるはずです。意外と大事なポイント。
ユニフォーム

こればっかりはお店によるんでなかなか統一した基準を設けにくいんですが、私は諦めません。
- だらしない印象を与えないよう、体に合ったサイズのものを着用し着崩さないようにしましょう
- 汚れが目立たない場合でも、定期的な洗濯(クリーニング)を行ってください
- ユニフォームで手や汚れを拭くことは控えてください
これ以上でもこれ以下でもないという考えに至ったんですがいかがでしょうか。業務中に着用するユニフォームは一部私服を含むにせよ支給したり貸与されるのでそこにルールは必要ないと思いきや、テロテロになるまでスラックス履き倒したり、いたずらにシャツのボタンを外したり、汚れたまま着用したりするスタッフは散見されます。
そのようなケースを未然に防ぎ、注意を促すために上記のようなルールは一定の有用性があるものと考えます。
におい
デリケートなようですが意外に単純なルールで対策可能です。
- タバコの匂いや口臭を防ぐため、必要に応じてタブレットやマウスウォッシュを使用してください
- 入浴のタイミングへの配慮や、デオドラントスプレーの使用で体臭を指摘されないようにしましょう
- お食事の邪魔になるような強い香水や化粧品の使用は控えてください
はい完璧。終わり。
おう、なんだ?スタミナ切れか?適当言ってんじゃねーぞ?
情報ってぇのはコンパクトにまとめることに意味があるのだよ
まとめ

この他にもタトゥーやカラコン、靴下・ストッキングなどについて触れることも考えられるのですが、やはり重要なのは根底の考え方の部分です。
衛生管理を隠れ蓑にして、前時代的な飲食店スタッフのあるべき姿を若いスタッフに強要してしまうと、ルールの隙間を突いてきたりここまでなら大丈夫かな?と探りを入れてくるスタッフが出てきたりと盛大なイタチゴッコが繰り広げられかねません。
冒頭にも触れましたが、ちょっとパンチのある見た目でも明るい笑顔と接客でお客様に愛されるスタッフはいるでしょうし、リクルート中かと思うくらいバチッとしていても絶望的に愛想がなかったり動きにキレがない困ったちゃんもいますよね。
身だしなみが整っていなかったり独自の価値観に依存しているせいで、お客様から怪訝な目で見られたり、ひいては周囲のスタッフと不調和を起こしたりすることがあるわけです。
他でもない本人が損するんだよ、ってことを上手に伝えられるようにルールやマニュアルを整備することが店舗運営側の最大の責務なんではないかと考えるわけであります。
すごく余談なんですが、私ってば文章を書くときにはできるだけ「思います」を使わないようにしてるんです。「感想文か?エッセイか?」って感じがしちゃうので(笑)
今回ばかりはテーマがテーマだったので「思います」からなかなか逃れられませんでした💦だからどうだって話でもないんですが、はい。何かご意見等ございましたら下記のフォームからご連絡ください😀