以前シュッとしたハンサムな酔っ払いが純度100%の失敗談を武勇伝みたいに語ってまして。せっかくなのでブログネタにしてやろうと思います。
タイトルにある通り、ノンフィクションをベースに組織は離職率の低減のために何ができるのか考察します。最後まで読んで頂けるとお分かりいただけるかと存じますが、
人を育てるには人が個性を見極めて組織がフォローする体制を構築しておかなければなりません。
あらすじ
予め言っておきますがなにしろ酔っ払いの言ってたことなんでディテールの真偽はわからないですし、当事者の言い分ですので若干美化されていることが予想されますし、不要な情報が多かったので私なりに要約しています。
本田くん、入社
むかしむかしあるところに製造業を営む会社がありました。本田君はそこに期待の新人として採用されることになりました。
大まかな組織図は以下の通り。

まぁなんてことはない一般的な小規模のチームですよね。先輩達とは少し年齢が離れていたようですが、23歳の本田くん「これから頑張ります!」と。少し時代は昔、誰より先に出社して最後に退社するということを励行していたようです。
あえて特徴を挙げるならば、この工場長はプレイヤー上がりのプロパーではなく、あくまでマネジメント専任の人だったとのこと。
本田くん、愛くるしい笑顔で可愛がられる
歳が離れていたこともあり、先輩達は「こいつ可愛いな」「早く戦力にしてやらんとな」と思うわけです。特段工場長においては組織の活性化の観点からもとても本田くんに気をかけていました。
小さな組織なもののA、Bという2チームから構成されていたため若干の溝はあったようですが、いつも朗らかな本田くんはさほど巻き込まれることも無く、すくすくとスキルを身に付けていきます。
本田くん、ヘラヘラしてんのがイラつかれる
きっかけは本田くんがAチームに本配属されたことでした。Bチームの先輩方は急に可愛がってた後輩を奪われた気持ちになったわけです。
持ち前のまばゆい笑顔が「ヘラヘラしやがって」というマイナス査定に変わるのにさほどの時間はかかりませんでした。
本田くん、イキり倒す
謎のタイミングで本田くん、とんでもない過ちを犯してしまいます。
ある案件に対して、工法①と工法②が選択肢としてあったのですが、マニュアル上も先輩達の指導上も工法①が正着でした。ところがどっこい、
本田くん「工法②がダメかどうかなんてやってみないと分かんなくね?」
漢本田、工法②を勝手にチョイスしてあっけなく失敗に終わる。
これにはAチームの先輩方もガッカリ。工場長が「まぁまぁ」といったところで明確に教えたことの逆を行かれたらもう教えたくなくなりますよね。

本田、仕事辞めるってよ
嫌われる ⇒ 居心地悪くなる ⇒ 辞める ここまでわずか2秒。結果として入社から1年を待つことなく本田くんは退職することとなりました。
誰に何の責任があるの?
本田くんが工法②をチョイスした責任ではなく、貴重な会社の財産である新入社員が1年も経たずに退職した責任にフォーカスしましょう。以下どれも多少なりとも正解だとは思うのですが、誰がそれぞれどう悪かったのか、どうできたのかを下から順に整理していきます。
本田くんの責任
恐らくですが、このケースで一番批判する人のボリュームが大きいのが本田くんの責任ではないでしょうか。
ただ、ひとつ考えて頂きたいのは、本田くんはバカなりに工法②が誤っていたとしても自ら体感してそれを糧とし、生産性向上の可能性を探りたかったわけです。バカなりに。
組織の一員として誤った行動を犯した責任はあるにせよ、1年目のヨチヨチ歩きの赤ん坊に対して退職という選択を自己責任として切り捨てるのはいささか乱暴ではないかと感じる私。
先輩の責任
- 工法②のデメリットやリスクを懇切丁寧に説明する
- 痛い目見ないと分かんないなら痛い目合わせてフォローしてやる
- 大人として決められたルールの中で仕事すべきことを指導する
普段から一緒に働いている本田くんの性格から上記のことを想定、試行してみなかったとすればそれは先輩にも多少の責任はあると思うのですがいかがでしょう。
本田くん「わかりました!工法①ですね」⇒ 工法②敢行!!
だったらちょっと事前に打つ手立てはありませんが・・・それでも将来を見据えて必要な人材であればまずすべきことは「退職」の選択肢を消すことです。
工場長の責任
上記3点のような役割を先輩に教育できていなかったとすればそれは工場長の責任でもあります。「どんだけバカだろうが本田を一人前に育て上げるのがお前らのミッションだぞ」と口を酸っぱくして言い聞かせる必要があります。小さくても良いので評価として人参をぶら下げられると尚良いです。
工場長がいくら直接愛でたところで一緒に業務にあたるのは先輩方ですから。そして技術職等は特にそうですが新入社員への給与は投資です。辞められたら水の泡。企業として、組織として若手の早期退職は莫大な損失であることを工場長がきちんと認識し、それを先輩達に適切な形でブレイクダウンできていたのかは甚だ疑問です。

じゃあ誰がどうすれば良かったの?
組織づくりはトップの責任
本田くんが辞めることなくモチベーションを保てるよう取り計らうのは、その環境を作る先輩達の責任です。そして、その環境、風土醸成を行うのは組織のトップである工場長の責任です。
したがって、工場長が本田くんの先輩達に対して「責任持って面倒みろよ」というのは間違っていないですが、最終的な責任は組織のトップである工場長にあると考えるのが組織論上最も健全です。
「新入社員」という属性への勘違い
様々な業種において散見されますが、新入社員の価値を低く見積もり過ぎです。代わりはいくらでもいる、といって中途採用に毎年何十万、何百万とかけるのは非常にコスパが悪くないですか?優秀なスタッフがそれにひっかかる可能性は何%ですか?
せっかく入ってくれた新入社員をどれほど大切に扱って戦力としていけるかは企業にとって喫緊の課題であり必須能力です。その上で認識しなくてはならないことが、
- 何にもできないくせにやたらと自己評価が高い
- 返事がない、ただのしかばねのようだ
- 仕事を仕事だと思ってない、学生気分が抜けてない
こんなの全然普通ですから。時代が違うんです。素直で実直で、使命感と向上心に満ち溢れていて、自己解決力があって、岩を斬れるようになるまで半年間黙々と刀を振り続けられる新入社員なんてまずいないと思ってください。

まとめ
新入社員はダメダメで当たり前、そこをどうやって一人前に育て上げられるかが昨今の圧倒的売り手市場における企業、組織に求められる必須能力です。
離職率に悩んでいる経営者や管理職の方々は離職率の低減を現場の課題として捉えるのではなく、主体的にマインドセットや環境整備といった具体的施策に落とし込むようにしましょう。
退職は本人の意思、ではなく退職という選択肢を選ばせた組織の責任。これをトップが認識することが離職率低減施策のスタート地点です。